キリンホールディングス株式会社様との共同研究:「笑い」の集中力向上とストレス軽減効果に関する研究成果のお知らせ
- 笑いと健康プロジェクト事務局
- 5月7日
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この度、キリンホールディングス株式会社様と近畿大学様との共同研究 により、「笑い」が心身にもたらす良い影響についての共同研究が学術誌に発表されましたので、ご報告いたします。
研究の概要:短時間の「笑い」がもたらす変化
現代社会におけるストレスや、それに伴う集中力低下といった課題に対し、「笑い」が有効な手段となりうるか検証するため、本研究は実施されました。キリンホールディングス株式会社様の倫理委員会承認 を得て進められました。
研究では、40歳から65歳の健康な成人25名 を対象に、約4分間のお笑い動画(M-1グランプリファイナリストのネタと芸歴2年目の芸人のネタを比較対象)視聴した後、脳機能や生体指標の変化を測定しました。具体的には、認知機能課題のスコア、脳の特定領域(背外側前頭前野)の血流量、心拍変動(自律神経バランスの指標)、主観的な気分、唾液中のストレスマーカーなどが評価されました。
主な研究結果:笑いが脳機能と心理状態に及ぼす影響
研究の結果、以下の点が示されました。
集中力の向上: お笑い動画を視聴した後では、集中力を要する課題(Digit Vigilance Test)の成績が有意に向上しました。
脳活動の変化: 課題遂行中の脳血流測定において、M-1グランプリファイナリストの動画視聴後の方が、集中力などに関わる背外側前頭前野の活動が有意に高いことが示されました。
ストレス反応の軽減: 心拍変動、主観的気分の評価、唾液ストレスマーカーの分析結果から、 お笑い動画視聴後は、リラックス状態に関連する副交感神経活動が相対的に高まり、心理的ストレスが軽減される可能性が示唆されました。
今回の研究は、「笑い」が、短い時間であっても集中力の向上やストレス軽減につながる可能性を、科学的なデータに基づいて示した点で意義深いと考えられます。「笑い」は特別な機器や専門的な介入を必要としない、手軽な方法である点も注目されます。
(研究情報)
論文名: Effects of laughter on focus and stress in middle-aged adults: a single-blind, randomized controlled trial
掲載誌: BMC Complementary Medicine and Therapies (2025) 25:123
DOI: 10.1186/s12906-025-04863-5
試験登録: UMIN000043332
本研究「中年成人における笑いが集中力とストレスに及ぼす影響:単盲検ランダム化比較試験」 は、補完代替医療分野で国際的に認知されている学術誌 BMC Complementary Medicine and Therapies に掲載されました 。このジャーナルは、著名な科学誌 Nature を発行するシュプリンガー・ネイチャー社 の一部であるBMC から出版されており、査読を経た信頼性の高い研究が発表される場として知られています。
